冬になると窓から冷気が入り込んで部屋が寒い、結露でカビが心配、外の騒音が気になる……こんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。内窓(二重窓)を設置すれば断熱・防音効果が期待できますが、業者に依頼すると1窓あたり10万円以上かかるのがネックです。
そこで注目したいのが内窓DIY。実は最近では初心者でも取り付けやすいDIYキットが各社から販売されており、費用を3分の1以下に抑えながら自分で施工できる環境が整っています。この記事では、内窓DIYの基礎知識から具体的な取り付け手順、賃貸での活用法まで徹底解説します。
内窓DIYキットとは?メリット・デメリット
内窓DIYキットとは、既存の窓の内側にもう一枚窓を設置するための部材セットのことです。プロ用の内窓と異なり、一般の方でも扱いやすいよう設計されているのが特徴で、ホームセンターやネット通販で購入できます。
内窓DIYキットの種類
内窓DIYキットは大きく分けて2種類あります。
- 簡易型(ポリカーボネート・プラダン使用):軽量で加工しやすく、価格も5,000円~1万円程度。断熱効果は中程度だが賃貸向き
- 本格型(樹脂サッシ+複層ガラス):YKK APプラマードUやLIXILインプラスなど、メーカー製の簡易施工版。3万円~だが断熱性能は高い
初めて挑戦する方には簡易型から始めるのがおすすめです。失敗しても被害が少なく、賃貸でも原状回復しやすいメリットがあります。本格的な断熱を求める持ち家の方は、本格型を検討するとよいでしょう。
業者施工との費用比較
内窓設置の費用相場を比較すると、以下のような差があります。
| 施工方法 | 費用相場(掃き出し窓1枚) | 工期 |
|---|---|---|
| 業者施工(プラマードU等) | 8万円~15万円 | 半日~1日 |
| DIY(本格型キット) | 3万円~5万円 | 1日~2日 |
| DIY(簡易型キット) | 5,000円~1万円 | 2~3時間 |
DIYなら材料費だけで済むため、業者依頼の3分の1~5分の1のコストで済みます。ただし、取り付けの手間や失敗のリスクは自己責任となる点は理解しておきましょう。
DIYに向いている窓
全ての窓がDIYに適しているわけではありません。以下の条件を満たす窓が取り付けやすいです。
- 窓枠の奥行きが7cm以上ある(内窓フレームを固定するスペースが必要)
- 窓サイズが幅180cm×高さ180cm以下(これを超えると重量・強度の問題で危険)
- 窓枠が平らで歪みがない(凹凸があると接着力が弱まる)
- 引き違い窓・FIX窓(開き窓や出窓は構造的に難易度が高い)
腰高窓や小窓は特に初心者向きです。リビングの掃き出し窓でも、上記条件を満たせば挑戦可能でしょう。
DIY不可の窓も存在
一方で、以下のようなケースではDIYを避け、プロに相談するのが賢明です。
- 賃貸で管理会社が禁止している(契約書を必ず確認)
- 窓枠が古く腐食している(固定力が得られず落下の危険)
- 高所の窓(2階以上の外向き窓)(転落リスクがある)
- 大型窓(幅180cm以上)(素人では水平出しが困難で、重量も危険)
無理に自分で施工して怪我をしたり、窓を破損したりしては元も子もありません。不安な場合は最初から業者に依頼するのも選択肢の一つです。
必要な道具・材料
内窓DIYを始める前に、必要な道具と材料を揃えましょう。実はそれほど特殊な工具は不要で、一般的なDIY工具があれば対応できます。
基本的な工具
以下の工具を用意してください。
- メジャー(コンベックス):窓枠の採寸に使用。3m以上のものが便利
- 水平器:フレームが傾かないよう確認する必須アイテム(スマホアプリでも代用可)
- プラスドライバー:ネジ止めタイプのキットに必要
- カッター・ノコギリ:ポリカーボネート板の加工用(本格型は不要)
- 清掃用具:雑巾・中性洗剤・脱脂用アルコール
これらは既に家にあるもので十分対応できるでしょう。追加で購入するとしても合計3,000円程度です。
おすすめDIYキット3選
価格帯別におすすめのDIYキットを紹介します。
- 【簡易型】ニトムズ 窓ガラス断熱シートフォーム(約3,000円)
プチプチとアルミシートを組み合わせた最も手軽なタイプ。両面テープで貼るだけで、賃貸でも安心。断熱効果は限定的だが初心者の練習に最適。 - 【中級者向け】光モール プラダン内窓キット(約8,000円~1.5万円)
プラスチック段ボール(プラダン)を使った軽量タイプ。カットして窓枠に両面テープで固定。ある程度の断熱・結露対策効果が期待でき、原状回復も可能。 - 【本格派】YKK AP かんたんマドリモ 内窓 プラマードU(約3万円~)
メーカー品質の樹脂サッシと複層ガラスを採用。施工説明が丁寧で、採寸さえ正確なら初心者でも取り付け可能。断熱性能は業者施工品とほぼ同等。
まずは小窓で簡易型を試し、慣れたら本格型に挑戦するのが失敗しないコツです。
補助材料
キット本体以外に、以下の補助材料も用意しておくとスムーズです。
- 強力両面テープ:屋外用・耐水性のあるタイプ(3M製などが高品質)
- 気密テープ・隙間テープ:窓枠との隙間を埋めて断熱性を高める
- シリコンコーキング材:本格型で完全密閉したい場合に使用(賃貸では不向き)
これらは全てホームセンターで購入でき、合計でも1,000円~2,000円程度です。
内窓を取り付ける手順【完全ガイド】
ここからは、実際の取り付け手順を4ステップで解説します。この手順を守れば、初心者でも失敗のリスクを大幅に減らせます。
ステップ1:採寸方法
内窓DIYで最も重要なのが正確な採寸です。1mmのズレが致命的になるため、以下の手順を守ってください。
- 窓枠の内寸を測る:既存窓枠の内側の幅・高さを、左右上下の3カ所ずつ測定。最も小さい数値を採用
- 奥行きを確認:窓枠の奥行き(壁から窓ガラスまでの距離)が7cm以上あるか確認
- 障害物チェック:窓枠内にクレセント錠や突起物がないか確認。ある場合は避けて設計
採寸は必ず2回以上行い、別の人にも確認してもらうとミスを防げます。サッシメーカーのYKK APやLIXILの公式サイトには採寸シート(PDF)があり、それを印刷して使うと便利です。
ステップ2:窓枠の清掃
両面テープの接着力を最大化するため、窓枠の徹底清掃が必要です。
- ホコリ除去:掃除機や乾いた布で窓枠のホコリを取る
- 油分除去:中性洗剤で拭き、その後アルコールで脱脂する
- 完全乾燥:水分が残ると接着不良の原因になるため、最低30分は乾燥させる
この工程を省略すると、後日内窓が剥がれ落ちる原因になります。時間をかけても丁寧に清掃してください。
ステップ3:フレーム取り付け
いよいよ内窓フレームを固定します。ここでの水平出しが成功のカギです。
- 仮置き:フレームを窓枠に仮置きし、水平器で水平を確認
- 両面テープ貼り:フレーム裏面に両面テープを貼る(剥離紙はまだ剥がさない)
- 位置決め:再度仮置きして位置を微調整し、マスキングテープで目印をつける
- 本固定:剥離紙を剥がし、一気に押し付けて固定。水平器で再確認しながら圧着
両面テープは一度貼ると剥がせないため、位置決めは慎重に行いましょう。不安な方は、先に養生テープで仮固定して1日様子を見るのも手です。
ステップ4:パネルのはめ込み
最後にガラスやプラダンのパネルをフレームにはめ込みます。
- パネルの清掃:ガラス面にホコリがないか確認
- はめ込み:フレーム上部のレールに沿ってパネルを斜めに差し込み、下部を押し込む
- 開閉確認:スムーズに開閉できるか、引っかかりがないかチェック
- 隙間処理:窓枠とフレームの隙間に気密テープを貼り、断熱性を高める
開閉がスムーズでない場合は、フレームが水平でない可能性があります。無理に力を入れず、もう一度水平を確認してください。
注意点・よくある失敗
内窓DIYで陥りやすい失敗パターンと対処法を紹介します。事前に知っておくことで回避できるものばかりです。
採寸ミスで入らない
最も多い失敗が「キットが窓枠に入らない」というケースです。原因は以下の通り。
- 内寸ではなく外寸を測ってしまった:窓枠の外側ではなく、内側を測る
- 3カ所測定を怠った:窓枠は歪んでいることが多く、1カ所だけの測定では不十分
- メジャーの目盛りを読み間違えた:mmとcmを混同するミスに注意
対策:採寸は必ず複数回・複数人で行い、最小値を採用する。不安ならメーカーの採寸サービス(有料の場合あり)を利用するのも手です。
結露が悪化するケース
「内窓を付けたのに結露がひどくなった」という声もあります。これは換気不足が原因です。
- 内窓で気密性が上がると、室内の湿気が逃げにくくなる
- 既存窓と内窓の間の空気層に湿気がこもり、結露しやすくなる
対策:1日2回、各15分の換気を習慣化する。また、内窓と既存窓の間に除湿剤を置くのも効果的です。24時間換気システムがある家では、必ず稼働させましょう。
賃貸での原状回復
賃貸で内窓DIYをした場合、退去時の原状回復が心配になります。
- 両面テープ跡が残る:強力な両面テープは剥がす際に窓枠の塗装を傷める可能性がある
- ネジ穴が開いてしまう:本格型キットでネジ固定した場合、穴が残る
対策:賃貸では必ず「剥がせる両面テープ」「突っ張り式」を選ぶ。3M製のスコッチ超強力両面テープ剥がせるタイプや、ニトムズの弱粘着タイプがおすすめです。取り外し時は、ドライヤーで温めながらゆっくり剥がすと跡が残りにくくなります。
開閉しづらい原因
「内窓が固くて開かない」「斜めになってしまう」というトラブルもあります。
- 水平が取れていない:フレーム設置時の水平出し不足が原因
- パネルの重さでレールが歪む:安価なキットで重いガラスを使うと発生
対策:取り付け時に水平器を使い、少なくとも3カ所で水平を確認する。また、簡易型では軽いポリカーボネートやプラダンを使い、本格型では専用レールのあるメーカー品を選びましょう。
費用目安・材料費の相場
内窓DIYにかかる実際の費用を、窓サイズ別に整理します。業者施工との差額も明記するので、判断材料にしてください。
DIYキット価格相場
窓サイズ別の材料費相場は以下の通りです。
| 窓サイズ | 簡易型 | 本格型 |
|---|---|---|
| 小窓(60×90cm) | 3,000円~5,000円 | 1.5万円~2万円 |
| 腰高窓(120×120cm) | 5,000円~8,000円 | 2.5万円~3.5万円 |
| 掃き出し窓(180×180cm) | 1万円~1.5万円 | 4万円~6万円 |
これに工具代(初回のみ3,000円程度)と補助材料費(1,000円~2,000円)が加わります。初めてでも合計2万円以内で小窓1枚を施工できる計算です。
業者施工との比較
同じ窓サイズで業者に依頼した場合の費用と比較すると、差は歴然です。
| 施工方法 | 小窓 | 腰高窓 | 掃き出し窓 |
|---|---|---|---|
| DIY(簡易型) | 5,000円 | 8,000円 | 1.5万円 |
| DIY(本格型) | 2万円 | 3.5万円 | 6万円 |
| 業者施工 | 5万円~ | 8万円~ | 12万円~ |
DIYなら業者費用の3分の1~5分の1で済むため、家全体の窓(5~10カ所)を施工すると30万円以上の節約になります。ただし、失敗のリスクや施工時間を考慮し、初めは1~2カ所で試すのが賢明です。
補助金制度の活用
実は、内窓設置には自治体の補助金が使える場合があります。
- 国の補助:先進的窓リノベ事業(2024年度は5万円~最大200万円、ただし業者施工が条件)
- 自治体独自の補助:東京都・神奈川県など、一部自治体では断熱改修に最大30万円の補助金制度あり
残念ながらDIYでは補助金の対象外となるケースが多いですが、業者施工と組み合わせる(例:1階は業者、2階はDIY)ことで補助金を活用しつつコストを抑える方法もあります。お住まいの自治体のホームページで「住宅 断熱 補助金」と検索してみてください。
賃貸でも可能?原状回復できる内窓
「賃貸だから内窓は諦めている」という方も多いですが、実は原状回復可能な方法がいくつか存在します。
両面テープ式の選び方
賃貸で最も使われるのが両面テープ式の簡易型内窓です。ポイントは以下の通り。
- 剥がせる両面テープを使う:3M スコッチ 超強力両面テープ 剥がせるタイプ(PPS-19)など、粘着力はあるが剥がせる製品を選ぶ
- 窓枠の材質を確認:木製・樹脂製なら問題ないが、塗装が弱い古い窓枠は注意
- 施工前に目立たない場所でテスト:窓枠の隅で両面テープを1週間貼り、剥がした際の状態を確認
跡が残りにくいテープでも、長期間貼ると剥がしにくくなるため、2~3年を目安に交換するのが理想です。
突っ張り式の活用
最近注目されているのが、窓枠に突っ張り棒のように固定する内窓キットです。
- ニトムズ 窓際あったかボード:突っ張り棒とポリカーボネート板の組み合わせで、完全に原状回復可能
- 平安伸銅工業 突っ張り内窓フレーム:窓枠の上下を突っ張るタイプで、重量のあるガラスにも対応
突っ張り式は両面テープ不要で完全に取り外し可能というメリットがありますが、密閉性は両面テープ式に劣ります。断熱効果よりも「原状回復のしやすさ」を重視する方におすすめです。
取り外し時の注意点
退去時に内窓を取り外す際は、以下の手順で跡を残さず剥がせます。
- ドライヤーで温める:両面テープ部分を60℃程度に温めると粘着力が弱まる
- ゆっくり剥がす:一気に引っ張らず、角度を変えながら少しずつ剥がす
- 残った糊の除去:市販のシールはがし液やハンドクリームで拭き取る
- 最終清掃:アルコールで拭いて油分を除去し、元の状態に近づける
管理会社への事前報告も忘れずに。「原状回復可能な断熱対策をしたい」と相談すれば、許可が出るケースもあります。無断で施工すると契約違反となる可能性があるため、必ず確認しましょう。
断熱・防音効果はどれくらい?実測データ
「本当に効果があるのか?」という疑問に、実測データで答えます。簡易型と本格型で効果に差がある点にも注目してください。
実際の温度変化
ある住宅で内窓設置前後の室温を計測した結果です(外気温5℃、暖房なしの条件)。
| 測定場所 | 設置前 | 簡易型設置後 | 本格型設置後 |
|---|---|---|---|
| 窓際(50cm) | 12℃ | 15℃(+3℃) | 17℃(+5℃) |
| 部屋中央 | 16℃ | 17℃(+1℃) | 18℃(+2℃) |
窓際の冷気が大幅に軽減され、体感温度が3~5℃上がる効果が確認されています。これは暖房費の節約にもつながり、ある試算では年間1~2万円の電気代削減になるとされています。
防音効果の体感
防音効果についても、騒音計を使った測定結果があります。
- 車の走行音(70dB)→ 内窓設置後は50dB程度に減衰(図書館レベルまで静かに)
- 話し声(60dB)→ 40dB程度に減衰(ほとんど聞こえないレベル)
簡易型でも10~15dB、本格型なら20~25dBの遮音効果が期待できます。ただし、完全防音ではないため、線路沿いや幹線道路沿いでは限界があることも理解しておきましょう。
結露対策の効果
冬の朝、窓がびっしょり濡れる結露問題も改善されます。
- 設置前:毎朝窓全体が結露し、カビのリスクあり
- 簡易型設置後:結露の量が半分程度に減少(完全には防げない)
- 本格型設置後:ほぼ結露なし(複層ガラスの効果で露点温度が下がる)
結露対策を最優先するなら、複層ガラスを使った本格型がおすすめです。ただし簡易型でも、既存窓と内窓の間に除湿剤を置くことで、ある程度対策できます。
まとめ
この記事では、内窓DIYの基礎知識から具体的な取り付け手順、賃貸での活用法まで解説しました。重要なポイントは以下の3つです。
- 採寸と水平出しが成功のカギ:1mmのズレも許されないため、複数回・複数人で確認しましょう。不安ならメーカーの採寸サービスを活用してください。
- 賃貸でも原状回復可能な方法がある:剥がせる両面テープや突っ張り式を選べば、退去時のトラブルを避けられます。ただし管理会社への事前確認は必須です。
- 業者費用の3分の1以下で施工できる:簡易型なら5,000円~、本格型でも3万円~で断熱・防音効果が得られます。家全体で考えると30万円以上の節約になる可能性もあります。
内窓DIYは初心者でも十分挑戦できる分野ですが、高所作業や大型窓(幅180cm以上)はプロに依頼するのが安全です。まずは小窓1カ所で試してみて、慣れたら他の窓にも展開していくのがおすすめです。
次のステップとしては、実際にホームセンターで簡易型キットを手に取ってみるか、YKK APやLIXILのショールームで本格型の実物を見てみることをおすすめします。今年の冬は、内窓DIYで快適な室内環境を手に入れましょう。

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