鴨居・長押をDIYで撤去する方法|和室感をなくすテクニック

和室を洋室にリノベーションしたいと考えたとき、最も和室感を演出している要素が「鴨居」と「長押」ではないでしょうか。これらを撤去できれば一気に洋室の雰囲気に近づきますが、建物の構造に影響がないか、自分で作業できるのか不安に感じる方も多いでしょう。この記事では、鴨居・長押の撤去可否の判断基準から、DIYで安全に撤去する方法、プロに依頼すべきケース、撤去後の処理まで、実例を交えながら徹底解説します。

  1. 鴨居・長押は撤去していいの?判断基準を解説
    1. 構造材と化粧材の違い→見分け方と判断基準
    2. 撤去できるケース→賃貸・持ち家の違い
    3. プロに依頼すべきケース→構造に関わる場合
    4. 撤去前の確認事項→建築図面の見方
  2. 【DIY可能】化粧材の長押を外す手順
    1. 作業の全体像→所要時間と難易度
    2. 釘抜きの基本テクニック→壁を傷めない方法
    3. 長押の取り外し手順→ステップ1-5
    4. 撤去後の下地処理→穴埋めと壁紙補修
  3. 【要注意】鴨居撤去のリスクと対処法
    1. 構造材の鴨居を外す危険性→建物への影響
    2. 撤去後の柱・壁の処理→補強が必要なケース
    3. 賃貸での注意点→原状回復義務
  4. 必要な道具・材料
    1. 撤去作業に必要な工具→釘抜き・バール等
    2. 下地処理の材料→パテ・サンドペーパー等
    3. 仕上げ材→壁紙・ペンキ等
  5. よくある失敗と注意点
    1. 構造材を誤って外した事例→修復費用
    2. 壁を大きく破損した失敗→予防策
    3. 賃貸で原状回復できなかった例→敷金問題
  6. 費用目安・業者依頼との比較
    1. DIYで行う場合の費用→材料費の内訳
    2. 業者依頼の相場→撤去・補修込み
    3. DIY vs 業者の判断基準→コスト・リスク比較
  7. 撤去後の和室→洋室リノベ事例
    1. 実例1:賃貸での現状回復可能な方法→具体的手法
    2. 実例2:持ち家での本格リノベ→ビフォーアフター
    3. 撤去以外の和室感軽減テク→他の選択肢
  8. まとめ

鴨居・長押は撤去していいの?判断基準を解説

鴨居や長押を撤去する前に、最も重要なのは「その部材が構造材か化粧材か」を見極めることです。この判断を誤ると、建物の安全性に重大な影響を及ぼす可能性があります。

構造材と化粧材の違い→見分け方と判断基準

鴨居・長押には大きく分けて2つの種類があります。

  • 構造材:建物の骨組みの一部として柱と柱をつなぎ、壁や屋根の荷重を支える重要な部材
  • 化粧材:装飾目的で取り付けられた部材で、建物の構造には関与していない

見分け方のポイントは以下の通りです。

項目 構造材 化粧材
太さ・厚み 太く(10cm以上)、しっかりしている 薄く(3-5cm程度)、軽い
取り付け方 柱に組み込まれている、ほぞ組み 釘や接着剤で表面に固定
壁との関係 壁の内部に入り込んでいる 壁の表面に貼り付いている
建築年代 伝統的な木造住宅(築30年以上) 比較的新しい住宅

一級建築士の山田氏によると、「マンションや比較的新しい戸建て住宅の場合、長押は装飾目的の化粧材であることが多いですが、鴨居は構造材の可能性が高いため、専門家の判断を仰ぐべきです」とのことです。

撤去できるケース→賃貸・持ち家の違い

持ち家の場合、化粧材であれば自己責任でDIY撤去が可能です。ただし、構造材の場合は建築基準法に関わるため、必ず建築士や専門業者に相談する必要があります。

賃貸の場合は、化粧材であっても以下の条件があります。

  • 大家または管理会社への事前承諾が必須
  • 原状回復義務があることを理解する
  • 退去時に元に戻せる範囲での施工に限る

賃貸では、撤去ではなく「覆い隠す方法」を選択する方が安全です。例えば、長押の上から化粧板を貼る、鴨居をペイントして目立たなくするなどの方法があります。

プロに依頼すべきケース→構造に関わる場合

以下のケースでは、必ずプロに依頼してください

  1. 構造材の鴨居を外したい場合:耐震性に影響し、建築基準法違反となる可能性があります
  2. 築30年以上の木造住宅:伝統工法で建てられている可能性が高く、素人判断は危険です
  3. 2階建て以上で1階部分を施工する場合:上階の荷重がかかっている可能性があります
  4. 撤去後の補強が必要なケース:柱や壁の補強工事が必要になることがあります

実際に、構造材の鴨居を誤って撤去してしまい、壁にひび割れが発生したケースでは、修復に約50万円の費用がかかった事例もあります。

撤去前の確認事項→建築図面の見方

作業前に必ず確認すべきなのが、建築図面(平面図・矩計図)です。

  • 平面図:部屋の間取りと柱の位置を確認できます
  • 矩計図(かなばかりず):建物の断面図で、鴨居が構造材かどうか判断できます

図面がない場合は、建築確認申請書のコピーを市区町村の建築課で閲覧できる場合があります。賃貸の場合は、管理会社に図面の有無を確認してみましょう。

【DIY可能】化粧材の長押を外す手順

ここからは、化粧材の長押に限定して、DIYで撤去する方法を解説します。繰り返しになりますが、構造材の鴨居を素人が撤去することは絶対に避けてください。

作業の全体像→所要時間と難易度

化粧材の長押撤去は、以下のような作業になります。

  • 所要時間:1部屋(約6畳)で3-5時間程度
  • 難易度:初心者向け(★★☆☆☆)
  • 作業人数:1-2人(長押が長い場合は2人推奨)

作業の流れは次の通りです。

  1. 養生シートで床・家具を保護する
  2. 長押の固定方法を確認する(釘の位置を探す)
  3. 釘抜きで慎重に釘を抜く
  4. 長押本体を取り外す
  5. 壁の穴埋めと下地処理をする
  6. 仕上げ材(壁紙やペイント)で仕上げる

釘抜きの基本テクニック→壁を傷めない方法

長押は通常、細い釘で壁に固定されています。釘抜きの際、壁を大きく破損しないためのテクニックを紹介します。

  • 釘の位置を探す:磁石や針金を使って釘の位置を特定します
  • 当て木を使う:バールや釘抜きを使う際、壁との間に薄い板を挟むと傷が最小限になります
  • 少しずつ浮かせる:一気に引き抜かず、数回に分けて少しずつ浮かせていきます
  • 複数箇所から同時に:長押の両端と中央を少しずつ浮かせると、負荷が分散されます

プロの大工からのアドバイスとして、「釘が錆びている場合は、無理に抜こうとせず、釘の頭をニッパーで切断してから長押を外す方が安全です」とのことです。

長押の取り外し手順→ステップ1-5

具体的な手順を5つのステップで解説します。

ステップ1:養生と道具の準備

  • 床にブルーシートを敷く
  • 家具を移動または保護シートで覆う
  • 必要な道具を手元に揃える

ステップ2:釘の位置確認

  • 磁石を長押に沿って動かし、反応がある箇所にマーキング
  • 通常、柱の位置(約90cm間隔)に釘があります

ステップ3:釘抜き作業

  • 当て木をセットし、バールを差し込む
  • 釘を5mm程度浮かせたら、釘抜きに持ち替える
  • すべての釘を同じ程度まで浮かせる

ステップ4:長押本体の取り外し

  • 両端から中央に向かって少しずつ引き剥がす
  • 接着剤が使われている場合は、薄いヘラを差し込んで剥がす
  • 無理に引っ張らず、抵抗がある箇所は再度釘を確認

ステップ5:残った釘の処理

  • 壁に残った釘は、ペンチで引き抜くかハンマーで叩き込む
  • 釘穴は後で埋めるので、この段階では気にしなくてOK

撤去後の下地処理→穴埋めと壁紙補修

長押を外した後の壁は、釘穴と長押の跡が残ります。きれいに仕上げるための処理方法を紹介します。

釘穴の埋め方

  1. 穴周辺の汚れをサンドペーパー(#240程度)で軽く研磨
  2. パテを穴に押し込むように充填
  3. パテベラで平らにならす(若干盛り上がる程度)
  4. 完全に乾燥させる(24時間程度)
  5. 乾燥後、サンドペーパーで平滑に仕上げる

長押跡の処理

  • 長押があった部分だけ壁紙の色が違う場合、その部分だけ壁紙を貼り替えるか、部屋全体を塗装する必要があります
  • 賃貸の場合は、原状回復可能な「剥がせる壁紙」や「マスキングテープ+両面テープ」を使った施工がおすすめです

【要注意】鴨居撤去のリスクと対処法

鴨居の撤去は長押よりも遥かにリスクが高く、基本的にはプロに依頼すべき作業です。ここでは、そのリスクを正確に理解していただくために解説します。

構造材の鴨居を外す危険性→建物への影響

構造材の鴨居を撤去することには、以下のような深刻なリスクがあります。

  • 建物の耐震性低下:鴨居は水平方向の力(地震など)に対する抵抗要素です
  • 壁・天井のたわみ:鴨居が支えていた荷重が他の部材にかかり、変形する可能性があります
  • ひび割れの発生:応力が集中する箇所に亀裂が入ることがあります
  • 建築基準法違反:構造変更の確認申請が必要な場合があり、無断で行うと違法改築となります

2016年の熊本地震では、リノベーションで構造材を撤去していた住宅が倒壊した事例が報告されています。建物の安全性は、目に見えない部分で保たれていることを理解してください。

撤去後の柱・壁の処理→補強が必要なケース

プロに依頼して鴨居を撤去する場合でも、補強工事が必要になるケースがほとんどです。

  • 構造用合板の追加:壁の内部に構造用合板を入れて強度を確保します
  • 金物補強:柱と梁を金物で固定して、鴨居の役割を代替します
  • 新たな梁の設置:鴨居の代わりとなる梁(化粧梁など)を設置します

これらの補強工事を含めると、鴨居1箇所の撤去で15万円~40万円程度の費用がかかることが一般的です。

賃貸での注意点→原状回復義務

賃貸物件での鴨居・長押撤去は、原状回復義務の観点から特に注意が必要です。

  • 事前承諾の必須:大家・管理会社への書面による承諾取得が必要です
  • 原状回復費用:退去時に元に戻す費用は借主負担となります
  • 敷金からの差し引き:原状回復できない場合、敷金では足りない可能性もあります

実際のトラブル事例として、賃貸マンションで無断で長押を撤去したケースでは、原状回復費用として約12万円を請求され、敷金を大きく超える支払いが発生しました。賃貸では「撤去」ではなく「隠す」「カバーする」方法を選択することを強くおすすめします。

必要な道具・材料

化粧材の長押をDIYで撤去する際に必要な道具と材料をリストアップします。

撤去作業に必要な工具→釘抜き・バール等

道具名 用途 価格目安
バール(小) 釘を浮かせる 800-1,500円
釘抜き 釘を引き抜く 1,000-2,000円
ハンマー バールを打ち込む・釘を叩き込む 1,000-2,500円
ペンチ 残った釘を抜く 500-1,200円
磁石 釘の位置を探す 100-300円
当て木(薄板) 壁の保護 200-500円
養生シート 床・家具の保護 500-1,000円

これらの工具は、モノタロウコーナンeショップなどのホームセンター通販で購入できます。

下地処理の材料→パテ・サンドペーパー等

  • 木工用パテ:釘穴を埋める(500円~)
  • サンドペーパー:#240と#400の2種類(各200円~)
  • パテベラ:パテをならす(300円~)
  • マスキングテープ:塗装時の養生(300円~)

仕上げ材→壁紙・ペンキ等

撤去後の仕上げ方法によって、必要な材料が異なります。

  • 壁紙を貼る場合:壁紙(1m×10mで3,000円~)、壁紙用糊、カッター、ローラー
  • ペンキで塗る場合:室内用ペンキ(2Lで3,000円~)、ローラー、刷毛、塗料容器
  • 賃貸で原状回復可能な方法:剥がせる壁紙(1m×10mで4,000円~)、マスキングテープ+両面テープ

よくある失敗と注意点

実際にDIYで鴨居・長押の撤去を試みた方の失敗事例から学ぶ、注意すべきポイントを紹介します。

構造材を誤って外した事例→修復費用

失敗事例:築35年の木造戸建てで、化粧材だと思い込んで鴨居を撤去したところ、実は構造材だった。撤去後1週間で壁にひび割れが発生し、専門業者に依頼して補強工事を実施。

  • 修復費用:約48万円(補強工事+壁の修復+塗装)
  • 工期:2週間
  • 教訓:築年数が古い物件では、必ず建築士に確認すべきだった

壁を大きく破損した失敗→予防策

失敗事例:長押の釘抜き作業で、当て木を使わずに直接バールを壁に当てたため、壁紙だけでなく石膏ボードまで破損。

  • 修復費用:約8万円(石膏ボード交換+壁紙貼り替え)
  • 予防策:
    • 必ず当て木を使う
    • 一気に力を入れず、少しずつ浮かせる
    • バールの角度を壁と平行に近づける

賃貸で原状回復できなかった例→敷金問題

失敗事例:賃貸マンションで承諾を得ずに長押を撤去。退去時の原状回復で、同じ材質の長押が入手できず、部屋全体の和室建具を交換することになった。

  • 請求額:約15万円(敷金10万円を超過し、追加で5万円支払い)
  • 教訓:
    • 必ず事前に大家・管理会社の承諾を得る
    • 撤去した部材は必ず保管しておく
    • 賃貸では「隠す」「カバーする」方法を優先する

費用目安・業者依頼との比較

DIYと業者依頼、それぞれの費用を比較して、どちらが適しているか判断しましょう。

DIYで行う場合の費用→材料費の内訳

化粧材の長押撤去を6畳1部屋でDIYした場合の費用内訳です。

項目 費用
工具類(初回のみ) 5,000-8,000円
下地処理材料 1,500-2,500円
仕上げ材(壁紙) 3,000-5,000円
養生材料 500-1,000円
合計 10,000-16,500円

※工具は一度購入すれば他のDIY作業にも使えるため、実質的な費用は6,000円程度とも考えられます。

業者依頼の相場→撤去・補修込み

プロの業者に依頼した場合の相場は以下の通りです。

  • 化粧材の長押撤去+補修:3万円~6万円(6畳1部屋)
  • 構造材の鴨居撤去+補強工事+補修:15万円~40万円(1箇所)
  • 部屋全体のリノベーション:30万円~80万円(6畳)

業者依頼のメリットは、安全性の確保・仕上がりのクオリティ・保証があることです。

DIY vs 業者の判断基準→コスト・リスク比較

以下の基準で判断することをおすすめします。

条件 DIY推奨 業者依頼推奨
対象部材 化粧材の長押 構造材の鴨居
建物種別 比較的新しい住宅(築20年以内) 築30年以上の木造
物件形態 持ち家で自己責任OK 賃貸・構造に不安がある場合
予算 1万円台で済ませたい 3万円以上出せる
DIY経験 ある程度の経験がある 初めてのDIY
仕上がり 多少の粗は気にしない 完璧な仕上がりを求める

迷った場合は、まず専門業者に現地調査と見積もりを依頼することをおすすめします。構造材かどうかの判断も含めて、無料で相談できる業者も多くあります。

撤去後の和室→洋室リノベ事例

実際に鴨居・長押を撤去して和室を洋室化した事例を紹介します。

実例1:賃貸での現状回復可能な方法→具体的手法

物件情報:賃貸マンション、6畳和室、築15年

施工内容:

  • 長押は撤去せず、上から白いMDF板(厚さ5mm)をマスキングテープ+両面テープで貼り付け
  • 鴨居は白いペンキ(水性・剥がせるタイプ)で塗装
  • 畳の上にフロアタイル(置くだけタイプ)を敷く
  • 壁は剥がせる壁紙で白く統一

費用:約4万円

ポイント:撤去ではなく「隠す」「カバーする」ことで、退去時に原状回復可能にした点。大家の承諾も得やすく、敷金返還もスムーズだったとのことです。

実例2:持ち家での本格リノベ→ビフォーアフター

物件情報:持ち家一戸建て、8畳和室、築25年

施工内容:

  • 化粧材の長押をDIYで撤去
  • 鴨居は構造材のためプロに依頼し、補強工事を実施
  • 壁は全面的に珪藻土で塗り直し
  • 畳を撤去しフローリングに変更
  • 和室建具を洋風ドアに交換

費用:約55万円(うち鴨居関連が約18万円)

結果:完全な洋室化に成功し、家全体の統一感が向上。不動産査定額も約80万円アップしたとのことです。

撤去以外の和室感軽減テク→他の選択肢

鴨居・長押を撤去しなくても、和室感を軽減する方法はあります。

  • ペイントで色を変える:白や淡いグレーに塗るだけで印象が大きく変わります
  • カバー材を取り付ける:上から化粧板や幅木用のモールディングを被せる
  • 壁紙・ペンキで視線を分散:鴨居・長押よりも壁面を目立たせる
  • 照明・家具で洋室感を演出:北欧風の家具やペンダントライトで視覚的に洋室化
  • カーテン・ブラインドで目隠し:鴨居部分を布やブラインドで隠す

撤去にはリスクとコストが伴うため、まずはこれらの方法を試してみることも検討してください。

まとめ

この記事では、鴨居・長押の撤去について、判断基準から具体的な手順、リスク、費用まで解説しました。重要なポイントは以下の3つです。

  1. 構造材と化粧材の見極めが最重要:構造材の鴨居を素人が撤去することは、建物の安全性を脅かし、建築基準法違反となる可能性があります。必ず専門家に相談してください。
  2. DIYできるのは化粧材の長押のみ:適切な道具と手順を守れば、初心者でも撤去可能です。ただし、壁を傷めないよう慎重に作業し、賃貸の場合は必ず事前承諾を得てください。
  3. 撤去以外の選択肢も検討する:ペイント・カバー材・壁紙変更など、撤去せずに和室感を軽減する方法も有効です。リスクとコストを天秤にかけて判断しましょう。

次のステップとしては、まず建築図面の確認または専門業者への無料相談を行い、対象の鴨居・長押が構造材か化粧材かを正確に判断することをおすすめします。安全第一で、理想の洋室化を実現してください。

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